huv a slight fever

年中夏

気をつけろ 私が行く


タイトルどうしようかなあ、と思いだしたときに強く残ったのがこの歌詞だった。あらためて、日本語でない曲を日本語に訳することのおもしろさよ。この言葉が出てくることがすごい。日本語の中の強さを出していてかっこいい。

映画「グレイテストショーマン」を見ました。たぶん、前回書いたセルゲイの映画ぶり、の映画でした。
初めから、自分の中で百点満点の映画になるとは思っていなかった……というと、語弊があるけど、それにしても……!という、見終わった後の腑抜けてしまった感じ。なんだろうこのものたりなさ…刺さるものがない。批判ではなくて率直な感想。
画面の美しさ、ショーのキラキラした感じにワクワクさせられたシーンはいくつもあったけれど、けれど…?映画ってこういうものだったかなあ、と考えると。思い入れられる要素がなかった。
なぜか?って考えて、物語性が足りなかったというか……もちろん一人の波乱万丈の人生、ショーマンとしての顛末としては華々しくて、最後はあっけなくて、という見せ場はたくさんあったのに。私の人生に入り込む余地がない、じゃないけど……うーん。共感できなかった。この終わり方でいいのかなあ…何か伝えたかったのかなあ…?みたいな。
もっと、差別とか身分とかそういうところを突く話かと思ったらそうでもなく、破産して終わりかと思ったらパートナーに救われて、離婚の危機かと思ったらよりを戻して、みたいなことが繰り返されて、変なところで予想通りにいかない。ヒュー・ジャックマンはバルジャンみを火事場で見せてきたので最後はあっけにとられました。悲劇が見たいわけではわけではないけど…!


そんな中で一番揺さぶられたシーンは自分でも意外だったけど「Never Enough」でした。曲が始まったときはなんともなかったんだけど不思議。Neverを繰り返すところが呪文のように、聞くうちにどんどん夢中になれて。映画で見ると呼吸まで聞こえてきて1人のシーンだからこその迫力もあって…とてもよかった。
まだ足りない、って言葉はバーナムにも重なるような意味を持ってるけど、彼女が歌うとそれは別の意味を持つような気がしました。というかさ、彼はショーを作るけど(あんまり作っている部分は出てこなかったなあ)(発想とか勝負の出方は本当に見事だなと舌を巻いたけど)キャストではない、というか、なにか自分がパフォーマンスするわけではなくて・・・。でもあの歌詞はパフォーマンスする人にこそふさわしい歌詞というか、歌ってほしい歌詞だとおもった。彼女のステージはは嘘じゃない彼女の実力で、それがとてもきれいだと思った。バレエのこともそう表現されていたけど、運とかお金じゃなくって培われてきたもの。それを使って「もっと」と言える人はとても魅力的です。もっと「もっと」と言ってほしい。
だれもが、素晴らしいパフォーマンスをみたら、恋してしまうような感覚になるでしょう。ミュージカルでも演劇でもダンスでも、私はああ言う瞬間が好きで、大切にしたいと思っている。自分がそうなるのも好きだし、人がそうなっている様子を見るのも好き。リンドのステージ袖でバーナムが感動した(ように見えたけど実は金になるぞ!って思ってただけかもしれないけど)様子だったシーンがすごく印象的だった。フィリップがアンを一目見て時間が止まったみたいな演出もあったけど。ああ言う瞬間です。だってああいうのって言葉とか理屈じゃないじゃないですか。それを描いた瞬間はとてもシーンとして好きだった。映画だとそれがわかりやすく表現されるから余計印象的だったのかな。


群舞のシーンは、そうだよこれこれこれが見たかったんだよ〜!と、予告を見たときに予想した「見たかったシーン」にフィットしてはいた。すてきだなあ。みんなかっこよかった。
曲の強さ、インパクトはたしかに楽しかった!繰り返し見たい。サントラは落として聞いています。洋ミュージカルのはずれない感じはやはり音楽から来るのかなあ。飽きない。


偶然にも、私はちょうど一年前の今日、今日行ったのと同じ映画館で映画を見た、ということを思い出しました。早いなあ1年。