huv a slight fever

年中夏

その音楽は誰がため

かん‐どう【感動】
[名](スル)ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること。「深い感動を覚える」「名曲に感動する」
デジタル大辞泉より)

 

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見た。今年見た中で1番の映画でした。ありがとうございました。
なんでこんなに良い!とかんじたのか、ちゃんと言葉にできなくてもどかしい。フレディ・マーキュリーは素晴らしい人間だな、と思って感動した訳ではないし、苦労して報われたサクセスストーリーだと感じて涙したわけではないし、当時を生きていないので懐かしさに浸って感傷で泣いたわけでもなければ、クイーンというバンドのファンでもないので彼らの物語どうこうに感情移入して映画を楽しんだわけでもない。
(否定文を上げることでしか残せないから模索しながら書きたいことだけ思いついたまま書きます)(いつもそうですね)

・JBと重ねて見ているところが多々ありました。ミュージシャンやバンドが手に入れらるものって、もちろんお金とか名声とか知名度とかもあるんだけど、1番はなによりあの音楽、です。あの音楽を作ったということがなにより、他に変え難いものだと思う……。それが最高って感じる。その瞬間のカタルシスというか。私は作ったことがないのでわからないけど、その瞬間に立ち会った気分になれる作品は特に魅力的に感じる。この映画は特に、曲を作るシーンをたくさん盛り込んでいたからこそ、それが感じられて楽しかった。すごくわくわくした!はじめに三人が声を重ねた瞬間とか、レコーディングしているときにアイディアを重ねて重ねて一曲の作品が完成していくところとか。
・クイーンの音楽の作り方の美学みたいなのがかっこよかった。(事実がどうだったかはわからないし、ぶれたりすることもあったろうけど)やりとりが粋。音楽がファンのものになる、みたいな言葉とか。観客と歌う音楽、とか。ライブで観客が歌い出すシーンとか。そう、観客との関係が美しかった。大衆…
・↑これ、字幕がとても良かっただからと感じた。ことば大事。翻訳の与える影響は大きい!!!英語ができないので尚更そう思う。マイアミとのやりとりとか。洋画ならではのかっこよさみたいなものを感じることが多々あった。
・クイーンの4人は、演奏している、歌っているときが一番かっこよくてかっこよくて、かっこよかった。演じている俳優さんすごい。うつくしかったなあ。みんなうつくしい。みんなバランス良く。みんな。全員。トンチキな格好しててもステージの上でパフォーマンスしてる姿の美しさと言ったら、なんだろう。ああいうのって楽器経験者だからできるものなのかなあ?とか考えたりした。クイーンがいきてた。
・ライブシーンが最高。ライブエイドのところ、永遠になみだが出るかと思った。観客の表情にもステージからの景色にも泣いた。客席の一部が抜かれて泣いているおじさんが写ったとき、共感が爆発した。自分もその中の一人になった気持ちがした。みんなが最高の音楽を求めていて、クイーンが目の前に最高の音楽を与えくれて、その相互関係がすべてだった という感覚かな…うまくいえない。
HIV差別、ジェンダー、というもの、生まれた時代や行きてきた国によってかなり左右されますよね。価値観。でもなんかそういったこと(とまとめるのは本当に雑すぎて、良くないとも思うのですが)に関係なく、良い音楽は良い音楽でしかなくて、他の要素によってどうこうなるものではない…と思う。すべての美しいものは、音楽とか芸術とかは、社会的な要素に邪魔されない強さがある。美しいものは美しい。歌い手が社会的に批判されようと、マイノリティだろうと、純粋な作品の良し悪しには関係ない。(もちろん社会的な評価に影響を及ぼしはする、けど)良し悪しを決めるのは聞き手であって、私であって、観客ひとりひとり。根底は一対一。だからいつも純度が高い感動いうか、もう精神とか本能に直接くる「良さ」じゃないですか?音楽って。音楽の良さを自分がどこで感じているかわかんないから余計にこういうこと感じるんだと思うけど、心酔できるというか。良いと言ったら良い。理屈じゃない。と思えるものが私にとっての音楽です。(あんまり、歌詞の意味とかをちゃんと味わえてないのであくまで表面的なところだけど。今の段階では。歌詞も好きになれたらもっと好きになっちゃうかもしれないし逆もありうる。)
・改めて、実際のクイーンの事実と違うところ(いつHIVであることがわかっていつメンバーに打ち明けたとかそういう)があるというのも読んだりした。(これは見たあとに調べたことなので映画の感想ではない)私はHIV差別についてあまり考えることなく今まで生きてきたので(一番古い記憶で中学校で学んだのは覚えている)それ以外のところに存分にのめり込めたのかもしれない。ただ、それを除いても、この映画の中では、セクシュアリティとかジェンダーに関する差別とか、視線とか、宗教的な圧力みたいなものとかはあって、それがすごくすごく重くて苦しい要素だったので、辛かった。自由に好きなものを、好きな人を、好きと思ったり相手にそれを伝えたり、表明したりすることがはばかれるということの苦しさをめちゃくちゃ感じて、感動と別の意味でやるせなくて泣ける、というシーンもたくさんあった。
・家族、って言葉もまた印象に残った。これ、JBでも出てきたけど、やはりグループのメンバーというのは、他に誰とも変えられない、強い関係があるんだな。それぞれの家庭とは別の意味でのファミリー。人の人生に必要なものって、これ、な気がしました。
・説明がましいけど、私は映画の評論家でも何でもないし、映画好きでもないし、音楽評論家でもないし、ここ数年は映画を映画館で見る回数≪コンサートやライブに行く回数≪ミュージカルを見る回数になっていて、映画の良さをどこで感じるかとかそういうのは全然わからない そういう人間が書いた感想です。ちなみにクイーンファンでもないです。映画館行く気もなかったけど誘ってもらえてよかった。よかったです。ありがとうございました。